書籍紹介-瀬名秀明『この青い空で君をつつもう』と折り紙の世界-

瀬名秀明『この青い空で君をつつもう』

四六判 仮フランス装 1,500円(税別)

昨日消えてしまった彼の手に、 明日の私の手が触れる。

この静かな青春の日々を、私はきっと忘れない。

想い出さえも、残せなかった
あの日にいま、ふたりは未来を繋ぐ。
力強い希望が溢れる、青春ラブストーリー。

《小説推理》連載時から舞台の静岡市で大反響!

『パラサイト・イヴ』『八月の博物館』『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』(原作=藤子・F・不二雄)の 瀬名秀明による2年8ヵ月振りの新作長編は、著者の故郷と母校が舞台のモデル。折り紙を題材に、女子高校生と 友人たちの成長を描く、静かに胸に沁みる青春小説。高きを仰げ――真の未来と希望が溢れる瑞々しい物語。

高校の美術部に所属する早季子は、クリスマスの朝、信じがたい光景を目にする。
自分宛に届いた一枚のはがきが、折り紙のように生き物の形に折られていたのだった。
かつて、さよならも言えず亡くなった同級生の和志が、何かを伝えようとしているのか。
止まっていた年季子の心が、動き始めた―― 。

【著者からのメツセージ】

 これは誰もが待っている「故郷の空」を描いた小説です。主人公の同級生である男子生徒は、ふしぎな折り紙を遺しただけで、気がつくともうこの世から消えていました。本作では決して人は蘇りません。人が時空を超えることもありません。本作はいわば「ループしないループもの」です。過去へ戻りたくても戻れないのが、私たちの人生です。しかし人生は戻れないようでいてループしている。どんなに悲しくても季節は巡り、春にはまた桜の花が咲くでしょう。そのことを高校生が知ったとき、未来と過去に何ができるか。知らないうちに死んでいった人に、何を思うことができるだろうか。それが本作のテーマです。ふだん私たちは雨雲の渦の行方を忘れていますが、大切なときにはしっかりとそれを思い出せるはるかな場所、それが故郷の空なのです。
 2016年10月刊行ですがランキングレースに参戦するタイプの小説ではありませんから、どうぞゆっくりとお読みください。派手な展開はありません。それでも読者の皆様にとっていつまでも大切な1冊になれたらと願っています。

瀬名秀明 『この青い空で君をつつもう』(双葉社)
・2016年10月23日発行
・本体1500円+税
・ISBN978-4-575-23990-4
・装画:今井ちひろ

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